おいしいのその先を届ける、ローカルガストロノミー。【tequila bar Anejo】 Vol.2
オーナーのHIDETOU（大西英登）氏が一人で切り盛りする、西日本を代表するテキーラ専門バー。“食事があってお酒がある”、一般的なバーとは対極をいく同店を以前紹介させてもらった。今回のハイライトは、まさにその食事。普段はアラカルトのみの提供となる食事メニューだが、コロナ下の時短要請を機に組数制限等の条件のもと、“コース料理”の提供を開始。当初は、当該期間のみの展開を想定していたようだが、アンコールの声が多く現在は季節ごとに期間を限定して展開している。
もはやトレンドではなく、料理人にとってはスタンダードな信念にもなりつつある「ローカルガストロノミー」。一般的な地元の食材を使った、観光客相手のそれは、地元の人たちにとっては既知のものも多く、物足りなくなりがちだ。同氏のそれは、地元の人たちも楽しめる。その土地で生まれ育った人たちにとっても、地元の素晴らしさを再認識できる新鮮さに富む。地域の食材を取り入れるだけでなく、地域のことを包括的に学んだ上で、その地の風土や文化、歴史が料理に再現される。バーであることを置き忘れそうになるが、そこはバー、ペアリングの妙は想像に難くない。“おいしいのその先”に触れる飲食体験をぜひ。
【秋のピンチョスコース】
はやとうりと新生姜
薄くスライスしたはやとうりの表面に塩をして、刻んだ生の新生姜をロール。瑞々しくさっぱりとした味わい。
ペアリング：スペインMahou IPA
柿とセロリのラペ
クミンのスパイスがアクセント、キャロットラペではない季節（秋）を感じる大人なラペ。
ペアリング：テキーラハイボール
初茸と松茸のスープ
香川県産の天然の初茸を使ったスープ。昔はよくおばあちゃんが裏山で取って食卓に並んだよう。
キノコ以外は牛乳、生クリーム、塩のみのという本品。鼻口が旨味で満たされる。
ブラウンマッシュルームのカルパッチョ 黒にんにくソースとミモレット
フレッシュなマッシュルームと黒にんにくの芳醇な甘みとミモレットの協奏。
ペアリング：白ワイン辛口 甲州100% 鳥居平今村 柏尾山南方
４種のきのこのシェリー酒マリネ
しいたけ、ホワイトマッシュルーム、舞茸、えのきをソテーして、シェリー酒でマリネ。ストレートにキノコの味力が伝わる。
ペアリング：シェリー酒 辛口 デル デューク アモンティリャード・ヴィエホ シェリー
秋刀魚と青リンゴのテリーヌ シードラのジュレ
マリネした秋刀魚と青リンゴ、大葉を交互に重ね、秋刀魚の頭と骨からとった出汁で冷やし固めたテリーヌ。そこにシードラ（りんごの発泡酒）のジュレを添えて。光り物とフルーツの相性の良さが際立つ。
ペアリング：バスク産 シードラ
まんばと自家製塩うに 香川県産フィンガーライム
香川県の郷土料理「まんばのけんちゃん」として皆が知る野菜のまんば。これをいりこ出汁で伸ばしペーストに。まんばと自家製塩ウニの甘みと塩味の立て合い、フィンガーライムの香りと酸味、食感が全体を引き締める。
ペアリング：日本酒 稲とアガベ prototype03
熟成豚肩ロースの低温コンフィ たけのこ芋ソース
スペイン産熟成豚肩ロースの低温コンフィ。10時間低温で火入れした豚肩ロースを提供時、表面だけ焼き色をつけた。隠し味にテキーラが使われた、たけのこ茸ソース。柔らかくジューシーでありながら一切の重さを感じない。
ペアリング：赤ワイン フルボディ YUME(ユメ) モンテプルチアーノ・ダブルッツォ
真鯛と生ハムの〆 ピスト添え
生ハムの下には、真鯛の切り身、秋刀魚と真鯛のアラからとった出汁で作ったパエジャ。ベルナレモンの果汁を搾り、1２時間ソテーし続けて出来上がったピストが添えられる。様々な風味、食感が織りなす複雑性が楽しい。
ジャージー牛乳のバヴァロア 2021年新摘み香川県産オリーブオイル
主役はバヴァロアに振りかけた粗塩とオリーブオイル。バヴァロアが引き立て役という皿。バヴァロアの甘みが塩とオイルの旨味、甘みを余すことなく引き出す。
ペアリング：自家製河内晩柑チェッロ
店舗情報
テキーラバーアネホ
https://www.instagram.com/hidetou_ohnishi/?hl=ja
TEL：087-835-5171
営業時間:18:00~24:00（L.O.23:30）＊変更の可能性あり
定休日:日曜
席数：22席
駐車場：なし
支払い方法：現金、クレジットカード、PayPay
喫煙：不可
住所：〒760-0052 香川県高松市瓦町２丁目１－２８
アクセス：ことでん瓦町駅から314m